【禁止事項を貼紙しても、違反はなくならない】
2019/10/01|社長ブログ
社長の山本太郎です
昔、トヨタ式コンサルをしていた方から教えていただき、いまだに強烈に頭に残っている言葉があります。それは「**するなという禁止事項を貼紙しても、違反はなくならない」という言葉です。逆に貼紙が少ない会社は、モラル、躾が高いレベルで維持されていると聞きました。
例えば、取引先の工場にいって「走るな」「時間に遅れるな」「ドアはちゃんと閉めること」などと張り紙がアチコチ貼ってあれば、その会社ではいつも「走る人」「時間に遅れている人が」「ドアを開けっぱなしにする人」がいるからその貼紙が貼ってある。つまり、ずっと守れない状態が続いていることを証明していると聞きました。
では、貼紙がなくてもルールがキチンと守られている職場とは、どのような職場でしょう。
一番簡単な答えは、すでに職場にモラル、躾が定着している職場です。なぜなら新入社員は、新しい職場の文化に最初から染まり、順応しやすいため、従来からいる先輩社員に良い文化が定着していれば、真似をしてくれるからです。職場に躾が定着していれば、新人さんはすぐ真似をして習慣化します。海外から来た旅行者が、日本のきれいな街中でゴミを捨てないのも同じ理由です。
ところが、元々ルールが守られておらず、躾が定着していない職場は少し大変です。では、どうすればよいのでしょう?それは、「言葉で直接本人に、その都度、その場で注意する。」これしかありません。注意するのは当然、職場の上司、先輩です。ところが、上司、先輩が「後輩、部下に嫌われたくない」と考える職場では、放置されドンドン躾が崩壊していきます。この状態は「個性」とは言わず単なる「ワガママ」になります。
最も大変なのは、上司、先輩がルールを守らない会社です。これがトップの社長や、経営層であれば目も当てられません。それを見て、後輩、部下がルールを守ることはほぼあり得ず、まじめな方たちはあほらしくなって、会社を見限ってドンドン去っていきます。または上司、先輩に直接注意して逆に会社を追い出されるように辞めてしまう場合もあります。
以上から、良い職場とは「リーダーが自ら率先してルール、モラルを遵守し見本となっている」「上司、先輩が問題児に、その場でキチンと即座に注意できる」職場です。このような職場では、逆に注意貼紙はなくなり、あるのは職場スローガンや目標掲示のみなのです。ただし一つ重大な注意点があります。ルールばかり守る人は、逆にルールにないことをやりたがらない傾向が強くなります。そうすると新しいこと、リスクのあることにチャレンジしなくなるという負の社風も生まれてしまいます。そうならないためにも経営層やリーダーは組織の中に、楽天家でルールを逸脱しても平気な少し野蛮な「挑戦者」と、ルールをきっちり守る少し官僚的な「文化人」という相反する性格の集団をうまくまとめていく必要もあります。
よって当社にとって良い社風を作るのは以下の3点と考えています。
① リーダー、経営層が自ら率先してルール、モラルを遵守し見本となっている。
② 上司、先輩が、問題児にその場でキチンと即座に注意できる。
③ ルールから逸脱するリスクがあっても、良いと思えば失敗を恐れず果敢にチャレンジすることを許す風土。
上記①②と③の間には矛盾する点があります。しかし、この相矛盾することを矛盾なく動かすことこそ良い社風のベースであり、リーダーが持つべきスキルだと思います。今後も、より部下や後輩の手本・見本となるよう、まずは社長である自分が率先してより良い文化を作るよう心がけ、社員から慕われるようリーダーシップを発揮したいと思います。